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サービス業その他

中小サービス業全体の売上高はバブル崩壊後も安定しており、経常利益もバブル期前と比較して2~5割多い水準で推移している(第213-5図)(注1)。しかし、サービス業その他を取り巻く環境を見ると、節約志向を始め利用者のニーズが大きく変わってきている。
総務省統計局「事業所・企業統計調査」(平成11年)によれば、中小サービス業その他の中では、「飲食店(約80万)」「洗濯・理容・浴場(約41万)」「旅館その他の宿泊所(約8万)」が多い。そこで、以下、中小サービス業その他の代表的な業種として理容業、クリーニング業、旅館・ホテル業、飲食店から、消費者ニーズの多様化に積極的に対応している事例を紹介する。

注1 サービス業の中の業種別動向を見ると、事業所向けサービス業や専門サービス業と比較して、消費者向けサービス業が事業所数が減少するなど比較的厳しい状況にある。総務省「サービス業基本調査」によれば、平成6年から平成11年の間に、消費者関連サービス業は事業所が1.3%減少し、事業収入は17.5%しか伸びていない。これに対し、事業所向けサービス業、専門サービス業は、事業所数がそれぞれ13.6%、5.2%、事業収入がそれぞれ47.4%、46.8%増加している。詳細は付表213-1参照。

第213-5図 中小サービス業の業績動向(昭和60年=100)

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(1)理容業・美容業

我が国の理容業は、4人以下で経営する小規模企業が全体の95%を構成する、典型的な自営業型の業種である。しかし、理容店、理容師の数とも、この20年間でほとんど変化がない(第213-6図、7図)。
また、理容サービスに対する支出は、平成5年をピークに減少傾向にある。1世帯当たりの理容サービスに対する支出は、平成5年に9,956円を記録したが、その後は減少傾向にあり、平成12年には8,023円とピーク時から19%も減少している(第213-8図)。
こうした需要の停滞を踏まえ、比較的堅調な美容業(注2)に進出(理容・美容兼業)する動きが見られる。

注2 美容業では、この20年間に美容師数も事業所数も着実に増加している(第213-7図、9図)。

第213-6図 理容店(事業所)数の推移

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第213-7図 理容師数・美容師数の推移

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第213-8図 1世帯当たり対理容サービス年間支出額

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第213-9図 美容店(事業所)数の推移

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<事例 郊外移転・美容業への進出により顧客を増やした理容業>

A社(山口県、従業員数4人)は、ある地方都市の駅前で理容店を営んできたが、集客がある郊外のショッピングセンター地域に移転するとともに、顧客のニーズの変化に対応して美容業にも進出し、顧客の拡大を図っている。

【経営環境の変化から業態転換を決意】
同社は企業城下町型の地方都市に位置する典型的な個人事業形態の理容店で、これまで利幅は小さくとも黒字経営を続けてきた。しかし、都市の中心的な存在である企業の業績が悪化し、郊外の国道バイパス沿いに大手量販店が開店したこともあって、駅前の集客力が減少した。加えて、若い能力ある技術者を確保できなかったためにパーマやヘアカラーのニーズに対応できず、次第に若い顧客を美容院に奪われるようになった。
この結果、平成7年度に売上高と経常利益が大きく減少したのを機に、同社は業務の見直しを決意した。

【顧客を求め、美容業への進出と郊外への移転を計画・実行】
同社は、顧客情報等をパソコンで管理・分析してきたので、顧客減少の理由が、郊外への顧客流出と、若い顧客のニーズへの対応不足であることは認識していた。そこで、経営コンサルタントとも相談し、集客力の高い郊外への移転と、顧客ニーズに対応するため美容業への進出を計画した。
平成8年2月、従業員2人に対して美容業へ進出する旨を伝えて5月に円満に退職してもらい、代わりに美容師2人を採用した。美容分野は技術のみならずファッション的なセンスやきめ細かな顧客フォローがなければ競争できないため、専門の美容師を採用する必要があると判断したためである。

【業態転換の現状】
平成8年5月に店舗を郊外に移転し、美容業の営業も開始した。集客力の高い地域に移転したことで男性顧客の来店は着実に増えた。他方、美容業は新規参入ということもあり苦戦を強いられていたが、徐々に顧客が定着しており、売上も安定しつつある。

(2)クリーニングサービス

我が国の家庭向けクリーニングサービスに対する需要は減少傾向にある。総務省統計局「家計調査報告」によれば、1世帯当たりの洗濯代は平成4年の19,243円をピークに減少に転じ、平成12年には12,456円と8年で約35%低下しており、消費者のクリーニングサービスに対する節約志向がうかがえる(第213-10図)。
加えて、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストア等と協力して取次店を増加させ顧客拡大を狙う動きも見られる。全国クリーニング環境衛生同業組合連合会の調査によると、平成11年の自家処理施設を持つ一般営業店は48,103店と漸減傾向にあるのに対し、クリーニング取次店数は115,896店と平成4年以降増加傾向にある。
このようにクリーニング店の経営環境は大きく変化しているが、業績改善の可能性は十分存在する。以下に紹介するのは、情報システムを活用して商品管理手法を改善し、生産性を向上させているクリーニング協業組合である。

第213-10図 1世帯当たりの年間洗濯代

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<事例 業態の特性に合わせてPOSシステムを応用し、受け渡し時間の
短縮・商品紛失率の低下を実現したクリーニング協業組合>

A協業組合(徳島県)はクリーニング店による協業組合である。同組合は業務を抜本的に見直し、POSシステムを導入して商品管理能力・生産性の向上に成功するとともに、料金割引サービスなど新たなサービスにも応用している。
同組合は昭和45(1970)年から活動してきたが、大型店の進出などにより利益を確保することが難しくなってきたため、これまでの業務を見直したところ、商品の紛失が多い等、商品管理能力に大きな問題があることが判明した。
同組合は、小売業等で商品管理に活用されているPOSシステムを応用すれば、商品の管理能力を向上できるのではないか、と考えた。しかし、中小クリーニング業でPOSシステムを応用している例は少なく、同組合は業務を見直しながら、業態の特性に合わせた独自のシステムを業者とともに構築することにした。結局、システム業者の選定からシステムの稼働までに2年以上の期間を必要とした。
新しいシステムは平成10年7月に稼働した。このシステムの下では、顧客から衣類を持ち込まれると、各店舗で従業員が商品の種類・件数等を端末に入力する。伝票の記入・整理等の作業は省略され、これにより商品の受け渡し時間を半分近く短縮することに成功した。
また、端末への入力と同時に、バーコードの入ったタグがプリントされ、商品に付けられる。このバーコードを商品の移動元、移動先でスキャニングすることで、商品がどこにあるか容易に確認できるようになり、商品の紛失が減少した。
入力情報は工場にも送られる。この情報を基に、各工場では毎日入荷される衣類の種類・分量を把握できるようになり、効率的な作業計画を立て、より低いコストで作業ができるようになった。
さらに、各店舗で入力した情報は本部で蓄積され、顧客層別サービス(事例69参照)や料金割引サービスの実施などに応用されている。
新しい情報システムは順次各店舗に導入されており、これにより商品管理が容易になり生産性が向上している。

(3)ホテル業・旅館業

国土交通省「観光の状況に関する年次報告」によれば、我が国の家計の旅行関連支出は平成5年以降おおむね横ばいで推移している(第213-11図)。
国民1人当たりの平均宿泊日数も、ここ数年は5日前後で伸び悩んでいる(第213-12図)。また、近年は日本人の海外旅行者数も増加するなど(第213-13図)、我が国のホテル業・旅館業を取り巻く環境は厳しい状態が続いている。
このように飽和する市場の下でも、接客サービスなどに細心の注意を払い、差別化に成功している企業も見られる。

第213-11図 旅行関連支出の推移

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第213-12図 国民1人当たり平均宿泊旅行回数及び宿泊数

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第213-13図 日本人海外旅行者数の推移

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<事例 ISO9002取得により従業員個人間のサービス格差を解消したホテル>

ホテル業を営むA社(北海道、従業員数170人、資本金5,000万円)は、従業員個人間のサービス格差の解消を目指してISO9002の取得を目指し、業務の見直しと作業の文書化に努め、平成12年に認証を取得した。

【従業員個人間のサービス格差解消を目指す】
同社は90年代を通じてサービスの質的向上に努めてきたが、どうしても従業員個人間の格差が解消しない。そのとき、同社社長が偶然ISOについて話を聞く機会を得た。ISO9000が「自ら目標を設定し、目標通りのサービスが安定的に供給されているか問われ続ける」ことを知り、個人間のサービス格差解消に役立つと考え、早速取得に向けた取組を開始した。

【業務の徹底的な見直しと作業の文書化】
同社では、平成10年末に社内の内部監査員の養成を開始、平成11年2月から4月にかけて全社教育を行うとともに並行して業務調査を行い、5月から3か月かけて品質マニュアル・作業手順書・各種帳票を作成し、実施と改訂を繰り返した。従業員は従来のやり方に慣れており、中途半端な導入ではこれまでの方法を踏襲する恐れがあるため、業務の見直し等を徹底して行い、従業員に改善の必要性を理解してもらった。
平成11年12月に審査を受け、平成12年1月、ISO9002の認証を取得した。

【ISO取得により、全ての従業員による同質のサービス提供が可能に】
作業の文書化が進むことにより、担当者が代わっても同質のサービス提供が可能となった。また、管理職の責任・権限が明確になり管理能力の向上等が期待される。
ISOの認証を取得しても、半年に1度の部外審査などにより継続的に品質維持・向上を図る必要がある。同社も「認証の取得はスタートラインに立ったということ」と気を引き締めている。

(4)一般飲食店

一般飲食店のうち、主に食事を提供する店の事業所数の推移を見ると、専門店が比較的健闘しているのに対して、一般食堂(定食、丼物、めん類などを提供する店)の下落傾向が目立つ。長期的にもこの傾向は顕著である(第213-14図、15図)。
また、一般食堂は新陳代謝が激しく、平成8年から11年にかけての事業所ベースの開業率、廃業率がそれぞれ9.7%、15.5%と平均(4.1%、5.9%)を大きく上回る。
このように一般飲食店業界は存続が最も難しい業種の一つであるが、独特の経営で成功している中小企業もある。ここで紹介する企業は、女性の視点に徹底的にこだわることにより成功している事例である。

第213-14図 一般飲食店(喫茶店を除く)の事業所数の推移


第213-15図 一般食堂の事業所数の推移

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<事例 女性の視点・ニーズにこだわり成長する定食屋>

A社(東京都)は、家庭的な和定食を中心とした定食専門店のチェーン展開を行なっている企業である。同社は店舗展開をする上で、20歳代~30歳代の女性のニーズを特に重視し、女性の視点から店の在り方を見直すことで、女性を中心とした顧客の支持獲得に成功している。

【女性客重視の理由】
一般に、外食産業では女性客を獲得できれば成功する、と言われている。女性客は男性客に比較して、味や価格はもちろん、食材に関する情報、食器、内装、清潔感等に対する要求水準が厳しいからである。
同社の顧客のほぼ半分はターゲットの女性客であり、毎月顧客から届くアンケート約5万枚の7割は女性客からである。同社社長はその1枚1枚に目を通し、顧客の反応に敏感に対応することで、顧客の評価を得てきた。

【女性の視点:1)体に良い食材・手作りの温かみのある家庭料理をアピール】
女性は健康志向が強く、食材へのこだわりも強い。同社は毎日朝昼晩食べてもいいように、できる限り栄養バランスにこだわり、体に良い食材を使用している。例えば、米は無化学肥料減農薬栽培米、しょうゆ、ソースは無添加・無着色、卵は自然卵を使用している。アンケートで寄せられた意見を参考に、食材の銘柄や生産者の名前を店内に張り出したり、メニューごとのカロリー表示を行っている。また、調理は各店舗で行い、温かみのある「手作り感」を出している。

【女性の視点:2)ファストフード店近くの2階や地下に出店】
ファストフード店は女性の顧客が集まる場所には必ず出店すると言われている。そこで、同社はファストフード店の近くに意識的に出店するようにした。
しかし、1階に出店することは希である。アンケートを通じて、女性客は食事をしているところを見られるのを好まない傾向があることを把握したため、同社はビルの2階や地下へ積極的に出店している。

【女性の視点:3)ローコスト経営】
価格への反応が厳しいのも女性である。しかし同社の定食の価格は600円台が中心で、ファミリーレストランと比較して3割程度安い。
これは徹底したコスト抑制による。例えば、商業ビルの地下や二階へ出店することで、一階に出店した場合と比較して保証金を約三分の一に押さえている。
商品も絞込みを行っている。メニューは「定番+季節限定」で構成されているが、35品目程度に絞り込み、調理をしやすくするとともに食材を限定してコスト削減を達成している。
このような特色を出すことにより、同社の売上高は順調に増加している。

中小企業庁ホームページより
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