1.社員に対する結婚祝金の支給
就業規則において、その者の給与(本俸)の額の2%相当額を結婚祝金として支給することと定めた場合において、このような給与スライド制の祝金は、給与等として課税する必要があるのではないかと思われますが、どのように考えられますか。
本来は給与等として課税されるべきものですが、社会通念上相当と認められる支給額であれば、課税しなくて差し支えないものとして取り扱われています。
解説
労働協約、就業規則等の定めにより、又は慣習等によって使用者から使用人等に対して支給される結婚祝金、出産祝金のような金品は、使用者側の一方的な給付ないしは単なる贈与ではなくて、使用者と使用人といういわば雇用関係における使用人たる地位に基づいて支給されるものと認められますから、本来、給与等として課税されることになります。
しかし、このような祝金品の贈答は、使用者と使用人との間に限らず、広く一般に社会的な慣習としても行われているところですので、使用者から支給されるものであるからといって、これについて常に課税するということは必ずしも相当でないということで、その祝金品のうち、その金額が社会通念に照らし相当なものについては課税しなくて差し支えないこととして取り扱われています(基通28-5)。
したがって、この場合ですが、その者の給与(本俸)の金額を基礎として決定された支給額であっても、その受給者の地位等に照らして社会通念上相当なものであれば、課税の問題は生じません。すなわち、支給額の決定がいわゆる給与スライド制で行われるかどうかは、特に問題ではありません。
なお、この取り扱いは、社会通念上相当と認められる金額を基準とする、いわゆる免税点方式であると考えられますので、祝金品の額が社会通念上過大であると認められる場合には、その全額(相当な額を控除することはしない。)が給与等として課税の対象とされることになります。
2.永年勤続者の記念品等に係る経済的利益
永年勤続者が記念品を受けることによる経済的利益については、課税関係は生じません。
本来は給与等として課税されるべきものですが、社会通念上相当と認められる支給額であれば、課税しなくて差し支えないものとして取り扱われています。
解説
使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することによりその役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては課税されないことに取り扱われています(基通36-21)。
- その利益の額が、その役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。
- その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
この場合には、その従業員の勤続期間、仕事の内容、給与額等からみて、その旅行券の金額が社会通念上相当であるのかどうかを判断することになりますが、その金額が3万円位であれば課税されないものと思われます。
なお、旅行券は有効期限もなく、所定の手数料を払えば換金自由であるということから、性格的には金銭支給と異なるところはないという考え方もあります。しかし、ギフト旅行券を交付してから相当期間(1年程度)以内に旅行した者について旅行券を使用したかどうかを使用者が確認している場合には、給与として課税しなくて差し支えありません。
3.商品の事業用消費について
年末年始に当たり、得意先に歳暮、年賀として店の商品を配っている場合、これらの商品は売上げに計上するのですか、それとも仕入価額から控除するのですか。
商品を事業のために消費した場合は、収入金額に計上する必要はありません。
解説
棚卸資産を事業のために消費した場合、棚卸資産の家事消費の場合と異なり、収入金額に計上する必要はありません。棚卸資産を事業用に消費した場合には、その棚卸資産の取得原価を仕入れから除外して、その取得価額相当額を接待交際費などの科目に振り替えることになります。
なおこの場合でも、棚卸資産を現物支給として使用人に支給したときは、その使用人に係る源泉徴収税額の計算に当たっては通常他に販売される価額をもってその給与所得の収入金額とされます(基通36-39)。
また、実務上は、事業のために消費した商品などの通常の販売価額を売上に計上し、その売上に計上した金額に相当する金額を接待交際費などの科目に計上する経理も行なわれていますが、一般的には、このような経理をしても差し支えありません。
4.店舗の改築祝を受け取った場合
この度、店舗の改築を行ったところ、得意先及び仕入先から祝金をいただきました。この祝金は、売上ではありませんから、事業所得の収入に計上する必要はないと思いますが、どうでしょうか。
店舗の改築祝金を、顧客等取引先から受け取った場合には、その受けた年分の事業所得の総収入金額に算入しなければなりません。
解説
事業所得の総収入金額には、商品の販売代金や請負代金、報酬、料金のようなその事業活動の本来の収入のはかに、事業遂行に付随して生ずる収入も含まれます(基通27-5)。
所得税法第27条第1項では、「事業所得とは、事業から生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう」と定めていますが、この規定は、事業が総合的な活動であることに着目して、たとえ個々の所得発生の基困となった事実をみれば事業所得以外の所得とされるものであっても、事業の遂行に付随して生じた所得については、これを含める趣旨であると考えられます。
ところで、開店祝や店舗の改築視として、顧客等取引先かち受ける金品は、事業の遂行に付随して生じた収入と考えられますので、原則としで、その金品を受けた年分の事業所得の総収入金額に算入することになります。
5.青色専従者給与が事業主の所得を上回る場合
今回、不況のため事業が好転せず貸倒れなどもあって所得はだいぶ少なくなる見込みです。青色専従者給与は、事業主の所得より多くてはいけませんか。また仮に赤字の場合でも必要経費に算入できるでしょうか。
所得が減少したり、赤字になったことについて相当の事由がある場合は、その専従者給与の金額が適正なものである限り必要経費に算入できます。
解説
事業主の所得は、一般的にいって、事業主自身の労務に対するものだけではなく、資本の運用に対するものが含まれているものと考えられ、一般的には、事業主の所得の方が青色専従老給与の額よりも多くなることが通常であると思われます。
しかし、(1)事業主が老齢、病弱などのため、事業主に代わる重要な職務に従事する専従者であるとか、(2)事業主の所得が著しく減少したり損失が生じた場合に、その減少したこと又は損失が生じたことが、災害、貸倒れなど偶発的損失によるものである場合などには、専従老の給与の金額(その勤務の状況などからみて、適正なものであることが前提となります。)が事業主の所得を上回ることがあり得るものと考えられます。
このため、仮に事業に赤字が生じた場合であっても、それが上記のように、貸倒れや災害、その他偶発的な損失によるものなど相当な事由があるときは、その給与の金額が勤務の状況などからみて適正なものである限り、必要経費に算入できます(法57①、令164)。
しかし、通常の経営で毎年赤字になっているような場合には、その支給の是否、給与の金額が適正であるかどうかを検討する必要があります。








